はじめに

去年の春に転職したのですが、その時点ではこんな風に書いてました。

どこの会社かはまだナイショです(笑) もう少し落ち着いたら発表しますね〜。

やっと落ち着いたので発表しますね。僕は今「株式会社ソニックガーデン」のプログラマーとして仕事してます!

話せば長くなるのですが、自分としてのふりかえりも兼ねて色々と身の上話を書いてみますので、興味があればお付き合いくださいませ。

今日までの経緯を時系列でまとめ

  • 2014年7月 倉貫さんの「納品をなくせばうまくいく」を読んで超感動する
  • 2015年 ソニックガーデンウォッチャーとして生活
    • リモートワーク中心になったことを知り、富山でも働けるのか!と超期待する
    • kintoneを採用したことを知り、軟弱なイメージにちょっとガッカリするw
    • 珍しくエンドユーザーと直契約のシステム開発を受注、リーダーを任される
      • ソニックガーデンでも使ってるRuby on Railsを採用
      • 全員がRails初心者だったので効率が全然上がらず痛い目を見る
      • 下請けばかりでは「チームとしての開発力」を磨けないと痛感
      • でも個人としては「やればできる!」とかなり手応えを感じる
  • 2016年5月 転職を決意、SGのトライアウトに登録
  • 2016年6月 会社に「次の仕事は決まってないけど辞めます!」と伝える
  • 2016年9月 有休消化開始、トライアウト合格のため無職で勉強に集中
  • 2016年10月 有休フル消化して退職
  • 2016年11月 Toyama.rbに初参加、地元の優秀なプログラマー達に出会えて感動
  • 2016年12月 妻と娘を連れて村の実家に戻り同居開始
  • 2017年2月 t_wadaさんのTDDBC Toyamaに参加、ものすごい刺激を受ける
  • 2017年3月 トライアウトLevel1終了、倉貫さんとオンライン面談&コードレビュー
    • コードから「勉強してる」のは伝わってくるが、まだまだ実務経験値が足りない
    • 短期集中で勉強しても限界があり、技術の成長には「期間をかける」ことが必要
    • kintoneでの業務システム開発をアルバイトでやってみない?
    • 実務経験を積みながらRailsエンジニアとしてステップアップするのが良さそう
    • って感じの話をされる
  • 2017年4月 kintone初体験
    • 副社長の藤原さんとオンライン面談、kintoneでの開発方法を実演で教わる
    • いくつかお題を出されてkintone & JavaScriptで作ってみる
    • フルタイムでのkintone開発アルバイトが正式決定(ここで社会復帰!)
    • トライアウトのLevel2はRailsプログラミング部分を省略して継続
  • 2017年5月 藤原さんから「業務ハック」という構想を聞く
    • まさに自分が長年やりたかった仕事と100%一致して興奮MAX
    • 藤「Railsの勉強として業務ハックプラットフォームのWebサイト作ってみる?」
    • 僕「正直、Railsよりもkinotneで業務ハッカーに集中したいです!」
    • 藤「いいよ!じゃあプロ業務ハッカー目指そうぜ!!」
    • お客さんの案件を本格担当開始
  • 2017年6月
    • 初めて東京に物理出社、倉貫さん・藤原さん・業務ハッカー仲間と対面
    • 呼び名が「ざ~ちゃん」に決まる(Perfume仲間からの呼び名と一緒!)
    • トライアウトLevel2終了
    • 以降順調に業務ハックの仕事は増えていく
  • 2017年7月 業務ハッカー集団「株式会社テイルスガーデン」が分社、創業メンバーに
  • 2017年8月 2人目の娘が生まれる
  • 2017年9月 kintone hack 2017 Osakaの予選を通過
  • 2017年12月 Cybozu Days 2017でkintone hack Osakaに出場、優勝してしまう
  • 2018年1月 妻と娘2人を連れて町のマンションに再度引っ越す
  • 2018年3月 ソニックガーデンのメンバーページにプロフィールが載る
  • 2018年6月 kintone hack 2018の予選を通過、11月に幕張メッセでの登壇決定
  • 2018年7月 テイルスガーデンがソニックガーデンに事業譲渡、SG社員に移籍

いやー、、こうしてみると2017年は本当に激動の年だった。大げさではなく人生変わった一年間でしたねー。

ここからは、特に思い出深いエピソードを詳しく書いて行きます。

ソニックガーデンを目指すまで

前職では本業でコードを書く機会にあまり恵まれず、後半はお客さん相手の営業とか保守サポートとか中心でした。とは言っても「技術営業」的な感じで、システムが止まった時の復旧とか原因究明とか、機能追加の相談に乗ったりとか、簡単な修正ならサクッと自分でコード直したりとか、かなり技術力も必要で、それなりに充実はしていたのですよ。

ただ、やはりシステムに機能追加を本格的にしようとすると「見積り」「開発」「納品」というステップが色々大変で、お客さんが求めるものを簡単には提供できず、担当してる僕がとてももどかしい思いをすることが多くありました。

そんな時期に倉貫さんの「納品をなくせばうまくいく」を読んで、「これって、俺が今やってる仕事をトコトン極めたスタイルじゃないか!」と、そりゃもう感動しまくったのでした。「この会社に入りたい!!!」と読みながら何度思ったことか。でも一番のネックだったのが「東京の会社」ってこと。出版当時はすでに伊藤さんがリモートワークされてたはずですが、そこまでは知らなかったので「東京の人はイイヨナー。富山ダカラナー。。」と落ち込んだものです。

その後はずっと、倉貫さんのブログを読み漁ったり、SGの話題をググりまくったり、「ソニックガーデンウォッチャー」としてしばらく過ごしてました。たぶんPerfumeの次にソニックガーデンが好きだったんじゃないだろうか。(当時の様子を倉貫さんに話したら「ストーカーか!」と言われましたw)

ウォッチを続けていると、だんだんと「リモートワーク」の話題が増えていくことに気づきました。「富山にいてもソニックガーデンのメンバーとして納品のない受託開発ができるんじゃないか?」「地元の村に暮らしながら全国のお客さんを相手に仕事できる!それって最高じゃないか!?」と、どんどん希望は膨らんでいきました。たぶん深層心理では「絶対にここにジョインする」と思い込んでましたね\(^o^)/

トライアウトに挑戦

ソニックガーデンではプロスポーツチームのように「トライアウト」という仕組みで中途採用を行ってます。これが僕の性格にとても合っていた!専用Webシステムが用意されてるのですが、いきなり面接や技術試験があるのではなく、必要な技術や参考書籍が列挙されていて、「弱い分野は自習しておいてね!」ってスタンスなのです。Level1のカリキュラムを一通りこなすまでは特にプレッシャーがかからないので、マイペースでじっくり取り組んでから面接に進めるという、ある意味の安心感がありました。

最初はトライアウトに合格するまでは前職を続けようと思ってたのですが、2016年に入ってから「そもそもこの仕事を続けてたら病んでしまう」レベルで色々と辛い出来事が重なりまして。。それならば「一度自由(無職)になって、貯金を切り崩しながら生活して、トライアウトの勉強に集中する!」と覚悟を決めたのであります。今から思うと、ものすごい大胆なことをしたなーと思います。生活していくために実家に戻って、妻にも実家の家族にも、かなり苦労をかけました。。。本当に感謝感謝でございます。

あとこういう「背水の陣」はハッキリ言ってオススメしません!むしろ「一番ソニックガーデンに嫌われるパターン」だったりしますw

アジャイル開発者からみた「納品のない受託開発」の疑問を解消!?〜アジャイルラジオで倉貫が語った本音【前編】

よく「ソニックガーデンさんに入る覚悟を決めるために、前の会社辞めます」なんていう人がいるんだけど、そんなことを言う人はうちには入れないですよ。

いやー、これめっちゃ僕のことじゃないすか\(^o^)/ というか前職を辞める時点で、この記事も確か読んでたんですよ。そんでもこの道を選んだのは、

  • 「納品のない受託開発」のスタイルが自分に向いているという確信があった
  • 技術力は全然足りてないので、かなり勉強しないと合格できない
  • 自分・妻・娘の年齢的にも、ここまで思い切った冒険は今後二度とできない
  • SGに入れなくても、今じっくり勉強しておけば他社への転職にも必ず生きる
  • 今の気持ちのまま仕事を続けること自体がハイリスク

といった理由でした。最後は「なるようになるさ!」って感じだったかな!

最初の面接では倉貫さんに色々厳しいことも言われたんですけど、僕もハッキリと「情に訴えて『雇ってください!』と泣きつくつもりもありません。求められるレベルになるまで努力します」みたいに伝えましたし、入社後には藤原さんから「ざ~ちゃんはダメだった時の逃げ道もしっかり考えてたから、そこまで無謀じゃなかったと思うよ」と言ってもらえました。

新規事業「業務ハック」

一つだけ、とても大きな嬉しい誤算がありました。ちょうど僕がジョインするタイミングで「業務ハック」チームが本格的に立ち上がったこと!実はSGでやっていく中で一番不安だったのが、Railsのスキルよりも「バーチャルCTOとして新規事業コンサルする」という部分だったのです。

僕は新サービスの立ち上げよりも、業務システム開発の方が一貫して興味ありました。SIerの業界って残念ながらブラックなイメージが多いですが、そもそも「業務システム開発」「業務改善」という分野自体はやり甲斐がある大切な仕事だし、もし可能なら「納品のない受託開発で業務システム作れたら最高だろうなー」と思ってたんです。まさかそんな理想の環境が実現してしまうとは!

業務ハックについては、倉貫さんや「業務ハッカー ぎっさん」のブログを読んでいただくとよく分かると思います。

私たちは、そうした業務改善とシステム化を一緒にやってしまえる人のことを「業務ハッカー」と呼んでいる。そして、業務ハッカーたちの仕事こそ「業務ハック」という訳だ。「業務ハック」が、今までの業務改善と違う点、大事にしているポイントは以下の3点になる。

  • 小さく始めて繰り返す(大げさにしない)
  • クラウドを使いこなす(むやみに作らない)
  • 現地現物ありきの改善(人に無理させない)

「名前をキャッチーにした」こともすごく意味があるなーと思ってます。「SIer」とか「社内SE」よりも「業務ハッカー」って響き、カッコいいじゃないですか!(ハッカーを「悪い奴」と思ってる人もまだ多いみたいなので、そこの誤解解くのは頑張りたいけど)

この呼び名はソニックガーデンで独占するつもりはなくて、むしろ全国のいろんな人たちに名乗ってもらいたいです。一般企業で日々改善を頑張ってる人たちが「自分は業務ハッカーだったんだ!」と気づいて、誇りを持って自社の業務改善を続けてくれたら嬉しい。そして僕らの同業者は「プロ業務ハッカー」として、いろんなお客さんの業務改善とシステム化をサクサクとこなしていく!

今まで光が当たらなかった仕事でも「素敵な名前で呼ばれる」だけで本人の気持ちが全然変わることって多いと思うのです。業務ハッカーってまさにそうだと思ってて、こういう「地味だけど大切な仕事をコツコツやってきた人たち」に光を当てたいなーという思いも強いんですよね。

僕自身、前職でも「社内業務ハッカー」だったと思ってます。雑用を一手に引き受けてたので、情報共有のWikiを立てたり、FAXをメールで自動的に通知するようにしたり、細かい改善を毎日色々と続けてました。藤原さんもSG社内の業務ハックを一手に引き受けてきたようで、面談した当初は会話の節々にシンパシーを感じてすごい嬉しかったですね。

そして7月には、子会社「テイルスガーデン」として分社してしまうのです。社長・副社長はSGと同じく倉貫さん・藤原さん。少数精鋭の業務ハッカー専門集団がスタートしました!

kintoneに魅せられて

業務ハッカーが使うツールは、Railsではなくてkintone。ただkintoneについては、ノンコーディングで簡単なシステム作るだけの「軟弱なイメージ」がありました。「プログラマーを一生の仕事にする」というSGの理念とはどうも結びつかなかったんですね。なので倉貫さんから最初に「kintoneやってみる?」と言われた時は、正直どうしようかなーと迷いもありました。

しかし!実際に藤原さんからレクチャーを受けて自分で色々と触ってみるうちに「これは最高だ!!!」と印象が全然変わりました。

  • 簡単なシステムなら超高速で作れる
  • レイアウトの制約が強く、頑張らなくても必要十分なデザインにまとまる
  • サーバーの運用が不要
  • プログラミングで自由にカスタマイズできる
    • コードを書いてカスタマイズする機会が実はかなり多い
    • JavaScript・RESTなどWebで一般的な言語・技術を使う
    • kintoneに集中しても技術力の潰しがきく(某ACやFMとの決定的な差)

実はJavaScriptの経験は前職でもほとんどなく、トライアウトでもずっとRubyを勉強してきたのですが、JSやってみると意外にも「Rubyと近いな!」と思うことが多かったです。コールバック関数とか、map, reduceみたいな関数型プログラミングとか、Rubyで頑張って習得したものが生きたのは嬉しかったですね。

そんなkintoneを使いながらの「納品のない受託開発 x 業務ハック」は最高です!ホントこれは天職だなと思います。いろんなお客さんの案件を担当してきましたが、お客さんと直接打ち合わせをして、自分で作って、運用中のサポートも一手に引き受ける「顧問プログラマー」というスタイル。よくある「発注vs受注」の殺伐とした関係とは全然違って、同じ方向を向いた「パートナー」として良い関係が築けるのが最高です。

僕の担当案件はJSでカスタマイズをする機会が特に多く、そのうちkintoneへの不満も沢山感じてきました。全体的に「やろうと思えば何でもできるけど、スピーディーにやるための環境は整ってないなー」って印象でしたね。でも、そこは最新のWeb技術を駆使できるkintoneです。Webpack/Babelでのビルド環境を整えたり、設計情報を一括取得するCLIツールGinueを作ってOSSとして公開したり、自分とチームメンバーが開発しやすい環境を少しずつ整えていきました。メンバー全員kintoneで開発してるので、自分が快適なkintone開発環境を作ることは、そのまんまチーム全体への貢献になるんですね。もともと環境構築が大好きなこともあって、この辺りかなり好き放題やらせてもらいました(^^)

kintone hackに出場

そんな中、倉貫さんから「kintone hackに出てみたら?本戦に出て優勝してね!」と無茶振りをされましてw 8月の東京予選は2人目の娘が生まれる月だったので敬遠し、9月の大阪予選に出場。登壇前にプロダクトマネージャーの伊佐さんから「倉貫さんの秘蔵っ子」と呼ばれ超プレッシャーでしたが、無事予選通過、 12月の大阪本戦でチャンピオンになってしまいました!

kintone hack 2017 Osakaでは、上に書いたような内容の「開発環境をhack」というテーマで、業務ハック、業務ハッカーのこと、今まで温めてきたことを全てぶつけられて、気持ちよかったですね〜!元演劇部の経験が今までで一番活きた瞬間でした。ASCIIさんの記事、logmi書き起こし、スライド資料のリンク貼っときますね。

ここまでが去年の話。そしてつい先日6/8にkintone hack 2018の予選に出場、Ruby on Railsライクなkintone専用フレームワークGoqoo on kintoneを発表し、11月幕張メッセへの切符を手にしました!今年は東京大会で本当のチャンピオンになるべく頑張りまっす!

テイルスガーデンからソニックガーデンへ

2018年7月をもって、テイルスガーデン社はソニックガーデン社に統合(事業譲渡)しました。一年間「テイルスガーデン社」としてやってきて、事業としては順調に回ってたんですが「ソニックガーデン社として一本化した方が都合いいね」という結論に至りまして。

ということで、僕含めたテイルスガーデン社員(業務ハッカーたち)は、全員ソニックガーデンに移籍しました。アジャイル開発の文化が浸透してるソニックガーデンですが、こんな風に分社・統合までもアジャイル的にやってしまうわけです!

11月に幕張メッセで開催されるkintone hack 2018には、ソニックガーデン社員として出場いたします(`・ω・´)

おわりに

このブログは今まで匿名でやってきましたが、これを機にブログでも素性を晒していく覚悟を決めました!富山県の田舎の方に住んでる、赤座久樹(あかざひさき)です。「ざ~ちゃん」と呼んでください☆

いやー、、一区切りだと思って色々思い出してたら、とんでもなく長くなってしまった。。お付き合いいただきありがとうございましたm(. .)m